「極超音速」兵器が“力の均衡”を... 日曜安全保障

01/20 18:37
日本を取り巻く安全保障問題を、わかりやすく深堀りしていく、「日曜安全保障」。

20日のテーマは、17日に発表されたアメリカのMDR(ミサイル防衛見直し)報告に繰り返し出てくる「撃ち落とせない極超音速兵器の脅威」です。

能勢伸之解説委員「ロシアは年末に、最新鋭の極超音速兵器の発射試験に成功したと発表したんですが、実際に発射されたものは、1960年代に開発された古いICBM(大陸間弾道ミサイル)だったんです。プーチン大統領は、その古いミサイルの試験を、わざわざ見学しに行ったんです」

生野陽子キャスター「最新兵器と言いながら、プーチン大統領は古いミサイルを視察したんですか」

能勢解説委員「実際、古いこのICBMの先端に取り付けられていたのは、最新鋭の極超音速滑空弾頭だったんです。この計画を『アバンガルド計画』というふうに呼んでいました」

生野キャスター「怖いリサイクルだと思います。極超音速というのは、どのぐらい速いんですか」

能勢解説委員「音の速さ・音速は1秒におよそ340メートル進むんですが、これを超える速さを『超音速』と言います。F-15戦闘機ですと、その倍以上の速さで飛ぶことができます。それより早い、音速の5倍を超える速さを『極超音速』って言います。ロシアの発表によると、アバンガルドは、音速の20倍ですとか27倍ということですから、どれだけ速いかということです」

生野キャスター「今の迎撃システムでは、撃ち落とすのは難しいんじゃないでしょうか」

能勢解説委員「しかも、どこに着弾するのかわからない代物です。今までのICBMは、放物線を描いて落ちていく。頂点のあたりでスピードが落ちて、あとは重力で加速しながら、わりと単純な放物線で落下していく。どこらへんに落ちるか、計算できたんです。それに対して極超音速滑空弾頭は、地球の大気に沿って水切りのようにぴょんぴょん跳ねて飛んでいくわけです。極超音速滑空弾頭も同じように、大気圏の空気抵抗を生かして上昇。大気圏外では、空気がほとんどなくなるので、揚力がなくなって重力に引かれて大気圏に戻る。それを繰り返すわけです。大気圏内では、左右に向きを変えることができる。ロシアはその最新兵器を、2019年にも配備しようとしているわけです」

生野キャスター「このままだと、世界のパワーバランスに直結する問題になってきそうですね」

能勢解説委員「そうなんです。アメリカは17日に、9年ぶりにミサイル防衛の見直しを発表したんですが、極超音速兵器の登場ということで、新たな脅威として2030年ごろまでに宇宙にセンサーを配備するとか、無人機にレーザーを搭載するとか、そういう計画を打ち出したんです。来るべき米ロ首脳会談では、INF(中距離核戦力)全廃条約や、戦略兵器をどうするか重要なテーマとなると思われます。その時、兵器の知識、どちらの首脳が多いか、それが議論を制することになるかもしれませんね」

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